（７）ベネデット伝(でん)

7-1グレゴリオは7-2この修道院（しゅうどういん）運動の創始者を7-3篤（あつ）く崇拝（すうはい）していて、7-4後に教皇となってから、7-5簡潔（かんけつ）な聖ベネディクトウス伝を書いているが、7-6その一節（いっせつ）に7-7大要（たいよう）次のような挿話（そうわ）がある。7-8まだ修道院運動を始める前、7-9若いベネデットが7-10ローマ近郊（きんこう）スビアコ山中（さんちゅう）の洞窟（どうくつ）で7-11孤独（こどく）な苦行（くぎょう）生活を送っていた頃のことである。

7-12ある夜（よ）ベネデットは夢に7-13別れた恋人（こいびと）の面影（おもかげ）を見た。7-14忘れようとして忘れられない7-15その面影は、7-16覚（さ）めても心に焼き付いて彼を苦しめ、7-17情欲（じょうよく）の炎（ほのお）を燃え上がらせ、7-18荒野（こうや）を捨てよ、7-19修業（しゅうぎょう）をやめよとそそのかした。7-20苦しみのあまり彼は裸になり、7-21茨（いばら）の茂（しげ）みの中に身を投じて、7-22転（ころ）げ回（まわ）った。7-23とげに全身を刺（さ）されて7-24彼は血みどろになったが、7-25神は奇蹟（きせき）を現し給（たま）うた。7-26情欲は去り、7-27茨の茂みは7-28深紅（しんく）の薔薇（ばら）咲（さ）き乱（みだ）れる7-29園（その）に変わっていた。

7-30最後（さいご）は例によって奇蹟で落としているが、7-31この話、7-32変に生々（なまなま）しい実感があるので、7-33グレゴリオ自身も7-34同種（どうしゅ）の経験があったのではないかと思わせる。

7-35自宅を改造した修道院（しゅうどういん）で、7-36グレゴリオは極度（きょくど）の禁欲（きんよく）生活を守り、7-37生野菜（なま・やさい）と果物（くだもの）ばかり食べて過したが、7-38それでもこの三年間が7-39生涯（しょうがい）で最も幸福な時期であったと、7-40後にしばしば回想（かいそう）している。7-41だが教会は政治7-42行政の才能を探し求めており、7-43才能も7-44経験も豊かな7-45グレゴリオを見逃（みのが）すはずはなかった。
 
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謝辞ミチオ・自己研鑽資料
2014/9/1、2016/3/31 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義
通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」
2017/2/26