（１）ローマの衰退(すいたい)ぶり

1-1ハドリアヌス帝（てい）没後（ぼつご）四百五十年の歳月が流れた。1-2ローマ帝国の西半分は、1-3すでに文明そのものが崩壊（ほうかい）していた。1-4ゲルマン系（けい）諸族（しょぞく）、1-5アジア系諸族は1-6イタリヤ、1-7フランス、1-8スペイン、1-9北アフリカを蹂躙（じゅうりん）し、1-10都市を劫掠（ごうりゃく）し、1-11住民を殺戮（さつりく）し・・・・1-12そんな事態がもう二百年以上も続いていた。 1-13いつ果（は）てるともないその崩壊（ほうかい）過程（かてい）の中で、1-14かつて熱砂（ねっさ）のサハラ砂漠（さばく）からイングランドまで、1-15ドナウ川からイベリア半島（はんとう）までを1-16網の目のようにつないでいた1-17水陸（すいりく）の交通網（こうつうもう）は寸断（すんだん）された。 1-18ハドリアヌス帝が1-19あれほど力（ちから）を注（そそ）いで整備（せいび）した1-20行政（ぎょうせい）体系（たいけい）の同様（どうよう）に寸断された。1-21死んだとかげの手足（てあし）がぴくぴく動くように、1-22まだ局部（きょくぶ）では辛（かろ）うじて諸制度（しょせいど）が保（たも）たれていたが、1-23もはやかつての整然（せいぜん）とした法（ほう）の支配（しはい）は1-24見られなくなって久（ひさ）しかった。 1-25経済（けいざい）基盤（きばん）は完全に崩壊し、1-26交易（こうえき）は停止（ていし）し1-27貨幣（かへい）も流通（りゅうつう）しにくくなり、1-28人々は土地（とち）にかじりついて生きるしかなかった。 1-29栄華（えいが）をほしいままにしていたローマの都も、1-30今は半ば廃墟（はいきょ）だった。1-31百万（ひゃくまん）を大きく超（こ）えると言われた人口（じんこう）も、1-32今はその十分（じゅうぶん）の一（いち）にも満（み）たず、1-33パラティーノの丘（おか）に立ち並んだ豪邸（ごうてい）は1-34住む人もなく放棄（ほうき）され、1-35立ち腐（くさ）れていった。 1-36巨大（きょだい）な浴場（よくじょう）、1-37競技場（きょうぎじょう）、1-38劇場（げきじょう）も廃墟（はいきょ）と化し、1-39もはや何のための建造物（けんぞうぶつ）だったかもわからなくなりつつあった。1-40戦乱（せんらん）が、1-41飢餓（きが）が、1-42疫病（えきびょう）が、1-43容赦（ようしゃ）なく生き残った市民（しみん）に襲（おそ）いかかった。 1-44頼るべきものはもはや、1-45キリスト教会しかない。1-46普遍的（ふへんてき）な統一性（とういつせい）を保っているのは、1-47この宗教（しゅうきょう）組織（そしき）だけなのである。 ---ギリシャ神を模したローマの神々、ローマを呪ったミトラ教の神、ギリシャ神と混交したエジプトの神々、ユダヤ教などの民族に帰する神々は、普遍性を持たない。キリスト教の神は、実にパウロの手紙によって、その普遍性を持った教えが確立された。処女受胎、死者の復活と昇天。いつの世にも笑いものにされるその二つこそ、永遠性を保っている。

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謝辞ミチオ・自己研鑽資料

2014/9/1、2016/3/29 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」 2017/2/25