（４）死ねない （４）死ねない
| 4-1これだけの業績を果し、4-2人民の尊崇を一身（いっしん）に浴（あ）びていたこの皇帝の晩年は、4-3さぞかし満足感に満ちた幸福なものだったろうと、4-4誰しも思う。4-5だが実はそうではなかったのである。4-6彼は生きることに倦（う）みつかれ、4-7自分の成し遂げた事業に価値を見出せず、4-8ひたすら死を考えていたという。 4-9現代の歴史家モンタネッリは、4-10ハドリアヌスの晩年を叙（じょ）してこう書いている。 4-11ハドリアヌスは死ぬことばかり考えていた。4-12テベレ河の対岸に場所を定めて陵墓を作ったが、4-13この巨大な陵墓は現在聖天使城と呼ばれている。4-14自分の墓を作り終えた頃、4-15ストア哲学者エウフラテスがやって来て、4-16自殺を希望し許可を求めた。4-17皇帝は自殺を許可し、4-18人生の無益さについて語り合った。4-19エウフラテスが毒薬を飲み干すのを見た皇帝は、4-20わしにも毒杯を持って来いと叫んだが、4-21誰も持っていかない。 4-22侍医に命じると進退きわまって自殺してしまう。4-23そこでお付きの者に、4-24わしに剣をよこせ、4-25さもなければ剣でわしを刺してくれと懇願したが、4-26仰天して逃亡してしまった。4-27「ああ、わしほど不幸な者があろうか」と4-28絶望した皇帝は叫んだ。4-29「死にたいという者に死なせてやる権限を持つこのわしが、4-30自分自身を死なせてやることができないなんて」・・・・4-31偉大な皇帝だっただけではない。4-32古今東西の歴史を通じて4-33最も複雑で不気味で魅力的な人物の一人だった。4-34ハドリアヌスはおそらく古代世界で4-35最も近代的な人間だった。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2014/9/1、2016/3/22 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/25 |