（５） （５）
| 5-1ナポレオンの半島再編は5-2彼自身と彼の帝国の利害にもとづいて行われたが、5-3それが古い自治都市的な狭隘（きょうあい：土地・面積などの狭いさま）な限界を取り払い、5-4イタリヤ人同士の交流と市場の拡大に大きく寄与したことは確かだ。5-5彼がイタリヤの道路建設に意欲を燃やしたのは5-6主として軍事的な理由からであったとしても、5-7そのおかげでアルプスを隔てた北の諸国との交通も、5-8北イタリヤ諸市間の往来（おうらい）も、5-9飛躍的に便宜（べんぎ）が増し、5-10商品と情報の流通（りゅうつう）も遥（はる）かに容易になった。 5-11ナポレオンはセンピオーネ、5-12モンチェニジオの両峠に大工事を施すだけで満足せず、5-13冬にはこの両道とも通行不能になるというので、5-14南の海岸沿いにコルニーシュ街道を建設し、5-15さらにトリノからトリエステに至る5-16北イタリヤ横断道路網を重視して、5-17エミリヤ街道を近代的に改修し、5-18河川（かせん）にいくつも橋を架けた。 5-19相次ぐ戦乱の中で5-20イタリヤ人の移動は促進された。5-21フランス工兵隊が5-22軍のために整備した道路や橋梁（きょうりょう）に、5-23やがて郵便馬車が走るようになり、5-24手紙や新聞が運ばれてきた。5-25読める人間の数はたかが知れていたが、5-26彼らはその内容を読めない人々にも語り聞かせた。 5-27従来、村の聖堂の鐘楼（しょうろう）から見える範囲だけを5-28世界と見なして差支（さしつか）えなかった牧歌的（ぼっかてき）な田舎（いなか）の生活は、5-29しだいにその地平を広げ、5-30新しい現実と接触するようになり、5-31それまでの生き方、5-32暮し方がもはや時代遅れであることを実感せざるを得なくなったのである。 |
| 次へ |
| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2014/9/1、2016/3/10 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/23 |