（２６）イタリヤ王国(おうこく)創立宣言

26-1西暦１８６０年５月５日、26-2ガリバルディ指揮下の26-3一千余名の赤シャツの義勇軍が、26-4二隻の汽船で26-5ジェノバのクアルト港から26-6シチリヤ遠征に出発。26-7六日後に島に上陸した赤シャツ軍団は、26-8島民（とうみん）の反乱者とともに勝利を重ね、26-9月末にはパレルモ入城、26-10七月中頃（なかごろ）にはほぼ全島（ぜんとう）を制圧、26-11八月十九日にはメッシーナ海峡（かいきょう）を渡って26-12イタリヤ本土へ進攻。26-13両シチリヤ王フェルディナンド二世は26-14首都ナポリを捨ててガエータに逃げたから、26-15ガリバルディ軍団はやすやすとナポリ解放を果し、26-16勢いに乗ってローマ進軍を呼号（こごう）する。 26-17驚いたのはカブールである。26-18シチリヤをサルデーニャ王国に併合するよう26-19重ねて催促（さいそく）しても無視された。26-20これでは約束が違う。26-21ここで一挙にナポリやローマまで武力で制圧するということになれば、26-22国際関係にどういう跳ね返りがくるか分らない。26-23いずれかの大国が干渉に出れば、26-24事態は根本的に変化し、26-25孜々（しし：なまけず一心に励むようす）営々（えいえい：長い期間にわたって、せっせと励むさま）と築いてきた王国の国際的地位や26-26信用が地に落ちる。26-27ローマを守っているのは26-28フランス軍なのである。 26-29それにガルバルディは、26-30今は王制統一派と手を組んでいるとはいえ、26-31もともと過激な共和派で、26-32一度は王国の死刑宣告を受けた身である。26-33解放された南部の共和派が集結し、26-34王制反対の気勢（きせい）を挙げ始めると厄介（やっかい）なことになる。26-35現にマッツイーニはまたもやイタリヤに潜入、26-36政治工作を再開しているのだ。26-37カブールは意を決してビットリオ・エマヌエーレ王の出馬を仰ぎ、26-38国軍三万を出動（しゅつどう）南下させて、26-39教皇領のウンブリヤ、26-40マルケ二州を制圧、26-41北上（ほくじょう）する赤シャツ義勇軍と対峙（たいじ）の構（かま）えを見せる。 26-42この決断に今度はガルバルディの方が屈伏（くっぷく）せざるを得なかった。26-43ガエーダ攻略に手を焼いている間に王国軍はナポリ領に進撃、26-44テアーノから首都を窺（うかが）う。26-45すでにカブールは征服した教皇領と26-46両シチリヤ王国領で26-47併合の住民投票の手続きを済ませていた。26-48万事（ばんじ）休す。26-49ガルバルディはテアーノへ赴（おもむ）いて王に拝謁（はいえつ）、26-50征服した土地をすべて王に献（けん）じ、26-51麾下（きか）の赤シャツ軍団をも王の指揮に委（ゆだ）ねて国軍の一部とした。26-52ビットリオ・エマヌエーレは26-53その全軍を率いてブルボン王家（フランス）軍を圧倒（あっとう）、26-54十一月七日、26-55ガルバルディ将軍と肩を並べてナポリ入城。 26-56こうしてイタリヤのほぼ全域の統一は成った。26-57残るはベネトとラツイオだが、26-58前者（ぜんしゃ）はオーストリヤ軍、26-59後者（こうしゃ）はフランス軍に守られて、26-60早急（そうきゅう）には解放は望めない。26-61ここらで統一イタリヤ王国を宣言する潮時（しおどき）だ。 26-62年（とし）改まって１８６１年１月、26-63初の総選挙が行われ、26-64ベルディもめでたく当選、26-65二月十八日トリノで第一回国会が開かれ、26-66三月十七日（じゅうしち・にち）、26-67イタリヤ王国創立（そうりつ）宣言を採択（さいたく）、26-68ビットリオ・エマヌエーレ二世に、26-69「イタリヤ国王」の称号を献じた。26-70さまざまの問題を残しながらも、26-71イタリヤは一つの国家のもとに統一し、26-72近代（きんだい）世界の仲間入りを果した。26-73リソルジメントは勝利したのである。26-74だがその勝利はマッツイーニの敗北（はいぼく）であり、26-75共和民主の彼の理想が夢と消えたことを意味した。

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謝辞ミチオ・自己研鑽資料

2014/9/1、2016/3/14 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」 2017/2/24