（２５）ベルディ （２５）ベルディ
| 25-1ベルディも時代の急流に昂奮（こうふん）していた。25-2新作「仮面舞踏会（かめん・ぶとうかい）」の舞台稽古（ぶたい・けいこ）を中断し、25-3事の成り行きをもっと正確に知るために、25-4ブッセートへ戻る途中、25-5パルマ公国の使節団がトリノへ向かうのに出会った。25-6彼らはサルデーニャ王国への自国の併合を決定した住民投票の結果を25-7ビットリオ・エマヌエーレ二世に伝えに行くところであった。25-8旧知（きゅうち）のイギリス大使ハドソンの紹介で、25-9王国宰相カブールに会ったのもこの頃である。 25-10宰相はベルディに、25-11統一（とういつ）王国最初の国会議員（ぎいん）選挙に25-12出馬（しゅつば）するように要請した。25-13政治に無縁な作曲家は固辞したが、25-14カブールは異常な説得力の持ち主で、25-15粘り強く追い詰め陥落（かんらく）させた。25-16ベルディは政策とか25-17イデオロギーについては理解できず、25-18強（し）いて理解しようという気もなかった。25-19ロンドン公演でマッツイーニに会った時は25-20彼の共和主義に共鳴したが、25-21サボイヤ王家のもとでの統一が現実的な方策であると知ると、25-22それでもいいという気になっていた。25-23理屈はどうでも25-24まず祖国の統一が大切だというのが、25-25世論の大勢（たいせい）だったといえる。 25-26それに、自分も知らない間にベルディは25-27王制統一派のシンボルになっていた。25-28偶然のことながら、25-29ベルディVerdiという名の綴（つづ）りは25-30そのまま「イタリヤ王ビットリオ・エマヌエーレ」25-31すなわちVittorio Emanuele ｒｅ ｄ’Ｉｔａｌｉａの略号になっていたのだ。25-32「ベルディ万歳（ばんざい）」という叫びは、25-33イタリヤ統一王国の要求を表わした。25-34「仮面舞踏会」のローマ公演では、25-35観客は何度もベルディ万歳を絶叫（ぜっきょう）、25-36教皇国家の官憲も、25-37この叫びを弾圧するわけにはいかなかった。 |
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| 謝辞ミチオ・自己研鑽資料 |
| 2014/9/1、2016/3/13 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表 笹倉正義 通称：「オリジナル教会」 「ささくら修道会」 2017/2/24 |