（１０）統一(とういつ)国家(こっか)の模索(もさく)

10-1それでも、ナポレオン時代のフランス軍人、10-2イタリヤ王国軍、10-3ナポリ王国軍に籍を置いて10-4今は冷飯（ひやめし）を食わされている有志の将校たちには、10-5これ以外に依（よ）るべき組織がなかった。10-6西暦１８２０年に彼らはナポリとピエモンテで決起（けっき）し、10-7両王国で憲法発布をかちとるところまで行った。10-8オーストリヤ軍が介入（かいにゅう）するとたちまち粉砕されたが、10-9半島に再建された旧秩序が10-10外国軍の力によってのみ支えられているうという脆弱（ぜいじゃく）な実態は、10-11余すところなく暴露されたのである。 10-12事態を重く見たメッテルニヒは、10-13炭焼党弾圧に本腰（ほんごし）を入れた。10-14各地で党員が逮捕され、10-15ミラノでは鬼検事と呼ばれたサルボッティが敏腕（びんわん）を発揮、10-16この秘密結社の地下網を洗い出し、10-17ペリコ、10-18マロンチェリ、10-19コンファロニエーリら中心人物を逮捕して、10-20シュピールベルクのお監獄にぶち込んだ。10-21西暦１８３０年には10-22教皇領を中心にまたもや炭焼党の反乱が起こったが、10-23大（たい）した成果を収（おさ）めることなく鎮圧（ちんあつ）された。 10-24こんな陰謀地下組織ではもうだめだ、10-25と明確に理解した人物が炭焼党の中にいた。10-26入獄、10-27亡命という辛（つら）い経験の中で、10-28炭焼党の限界を痛切に知った彼は、10-29広く民衆に率直（そっちょく）に祖国統一を訴える開かれた組織が必要だという結論に達した。10-30「秘密結社の分派（ぶんぱ）でなく」、10-31「いかなる神秘も位階秩序（いかい・ちつじょ）も象徴物（しょうちょう・ぶつ）もない」、10-32「率直（そっちょく）と誠実（せいじつ）と確信をもって10-33共同する若者の友愛団体」を結成しなければならない。 10-34イタリヤ統一は歴史の必然である。10-35なぜならそれは進歩と自由の法則に従っているからだ。10-36人民に公然と呼びかけ、10-37彼らをその必然に目覚めさせ、10-38彼らをそのために立ち上がらせることが必要だ。10-39一部の革命家集団が秘密の陰謀によって政権を奪取（だっしゅ）するのでなく、10-40どこかの君主を奉載（ほうたい：貴人を団体の長にいただくこと）してその力量と権威に期待するのでもなく、10-41人民が蜂起（ほうき）して民族の統一を実現するのが本筋だ。 10-42そして、それによって出現するイタリヤ統一国家は、10-43当然民主共和制でなければならない。10-44こうして彼は勇敢（ゆうかん）に新組織の結成に乗り出し、10-45亡命先のマルセイユで10-46「青年イタリヤ同盟」を発足（ほっそく）させた。10-47時に１８３１年、10-48彼の名はジュゼッペ・マッツイーニ、10-49この年弱冠（じゅやっかん）二十六歳。

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謝辞ミチオ・自己研鑽資料

2014/9/1、2016/3/11 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」 2017/2/24