（１）ナポレオン登場

1-1ナポレオン軍の侵入は、1-2眠りこけていたイタリヤをベッドごとひっくり返した。1-3自由（じゆう）・平等（じゆう）・友愛（ゆうあい）の標語（ひょうご）を掲（かか）げたフランス革命軍は、1-4たちまちのうちに半島（はんとう）の旧体制（きゅう・たいせい）を粉砕（ふんさい）、1-5チザルピーナ、1-6パルテノピアという耳慣（みみな）れない名の共和国を南北に設立し、1-7ピエモンテもトスカーナも共和化させ、1-8ローマからは教皇（きょうこう）を追い出して市民に共和制を布（し）かせた。

1-9イタリヤの進歩的文化人は、1-10ナポレオン軍を解放軍と見立てて万歳（ばんざい）を叫んだが、1-11その「解放（かいほう）」はイタリヤ人のためではなく、1-12もっぱらフランス政府の都合と1-13ナポレオンの野望（やぼう）に合わせて進展するものであることが、1-14すぐに明白になった。1-15各地で徴発（ちょうはつ）された金銭や品物、1-16特に美術品がパリへ送られてフランスの国庫を満たし、1-17兵士たちは諸都市で略奪（りゃくだつ）をほしいままにし、1-18占領軍は設立した共和国の指導者を自国の傀儡（かいらい）として、1-19決して自主的な行動を許さなかった。

1-20フランス革命の理念に心酔して、1-21「ジャコビーニ」と呼ばれた進歩的文化人は、1-22ルソーの著作はよく読んでいたが、1-23イタリヤの現実や民衆の心理はまるで読めなかったから、1-24他国の革命の大義名分（たいぎ・めいぶん）をそのまま鵜呑（うの）みにして、1-25自国へ移入（いにゅう）しようとし、1-26民衆を反動派の方へ追いやり、1-27略奪者の手先として軽蔑（けいべつ）と憎悪（ぞうお）の的（まと）となり、1-28フランス軍の護衛（ごえい）がなければ身の安全も保てないような窮地（きゅち）に追い込まれた。1-29イタリヤの独立と統一を求める彼等の悲願は、1-30ナポレオンによって利用された挙句（あげく）に踏みにじられた。
 
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謝辞ミチオ・自己研鑽資料
2014/9/1、2016/3/8 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義
通称：「オリジナル教会」　「ささくら修道会」
2017/2/23