パウロの旅行とルカ

ルカは、イエスの出生からその生涯と昇天までをテオピロに報告した後、マルコの母の家に出入りして、使徒の活動の様子を記録していました。最初は一番弟子であるペテロに焦点をあてて記録していましたが、ある時からパウロに同行するようになりました。それが、使徒行伝の記事に、「わたしたち」が現れた時です。

しかし、なぜ、ルカがパウロに同行することになったのでしょうか。律法学者であり、キリスト者迫害の先鋒であったパウロは、突如として回心してキリスト者となり、逆にユダヤ人から命を狙われることになりました。それも、栄光のイエスからの啓示によるものであって、その時目を損傷したのでした。以後、目の患いはパウロのとげとなって、彼を苦しめました。

聖母マリヤは心を痛め、医者でもあるルカに、パウロへの同行を依頼しました。ルカは、聖母に別れを告げて、以後パウロに同行し、パウロに働く神の力の目撃者となるのです。

パウロは、ユダヤ人です。有力な人の紹介がなければ、ギリシャ人を同行させることはなかったでしょう。ルカがたとえば聖母の息子、ヤコブの紹介状を持っていたら、パウロは喜んで彼を迎えたでしょう。二人は師弟関係でも、医者と患者の関係でもありません。
（コロサイ人への手紙）4-14愛する医者ルカとデマスとが、あなたがたによろしく。

パウロの手紙が新約聖書に残っていますが、それらはルカによる写本です。新約聖書のほとんどの文書は、ルカの編成した医師団によって残された、と考えると多くの謎が解けます。そして、ルカ本人にも、その多くの危険を生き抜く、主の力が及んでいたのです。

ちなみに、テオピロは匿名です。それは、彼がローマ皇帝の百卒長という立場上、イエスの関係者と知られることは良くないからです。だとすると、そのしもべも本名ではなく、ルカと名のったと考えるほうが妥当です。

（ルカへの依頼主） 

2011/8/7　聖母マリヤ福音教会（ＳＭＨＫ）