（３３）謝辞

33-1しかし裁判官諸君よ、諸君もまた楽しき希望をもって死に面し、33-2そうしてこの一事をこそ真理と認めることが必要である−−−33-3それは、善人に対しては生前にも死後にもいかなる禍害もお起り得ないこと、33-4また神々も決して彼の事を忘れることがないということである。33-5今私に降りかかって来たことなども決して偶然の仕業ではない。33-6私はむしろ今死んで人生の困苦を遁れる方が明らかに自分のためによかったのであると思う。 33-7それだからこそ例の徴（しるし）もどこでも私に警告を与えなかったのである。33-8そういうわけで私としては、私に有罪を宣告した人々に対しても、33-9また私の告発者に対しても少しも憤りを抱いてはいない。33-10もっとも彼らが私に有罪を宣告したり告発したりしたのは、33-11そんなつもりではなく、むしろ私に害を加えんとしたのである。33-12これが彼らの非難に値するゆえんである。 33-13それでもなお一つ彼らに頼んでおきたいことがある。33-14諸君、他日私の息子共が成人した暁には、33-15彼らを叱責して、33-16私が諸君を悩ましたと同じように彼らを悩ましていただきたい、33-17いやしくも彼らが徳よりも以上に蓄財その他のことを念頭に置くように見えたならば。33-18またもし彼らがそうでもないくせに、33-19ひとかどの人間らしい顔をしたならば。 33-20その時諸君は私が諸君にしたと同様に彼らを非難して、33-21彼らは人間の追求すべきものを追求せず、3-22何の価値もないくせに、33-23ひとかどの人間らしい顔をしているといってやっていただきたい。33-24諸君がもしそれをしてくれるならば、33-25その時、私自身も私の息子共も、33-26諸君から正当の取扱いを受けたというべきである。 33-27しかしもう去るべき時が来た−−−33-28私は死ぬために、諸君は生きながらえるために。33-29もっとも我ら両者のうちのいずれがいっそう良き運命に出逢うか、33-30それは神より外にだれも知るものがない。 （テモテへの第二の手紙） 4-6わたしは、すでに自身を犠牲としてささげている。わたしが世を去るべき時はきた。4-7わたしは戦いをりっぱに戦いぬき、走るべき行程を走りつくし、信仰を守りとおした。4-8今や、義の冠がわたしを待っているばかりである。かの日には、公平な審判者である主が、それを授けて下さるであろう。 これは古代ユダヤ最後の預言者にして栄光のイエスの使徒パウロの手紙である。パウロのカイザリヤ獄中書簡である。長い幽閉状態の獄で、ユダヤ人による暗殺の影に怯えていた時の心境である。このパウロは、ソクラテスとプラトンから４００年後の人である。ソクラテスは、このパウロをどのように吟味するのであろうか。 （テモテへの第一の手紙） 6-20テモテよ。あなたにゆだねられていることを守りなさい。そして、俗悪なむだ話と、偽りの「知識」による反対論とを避けなさい。6-21ある人々はそれに熱中して、信仰からそれてしまったのである。恵みが、あなたがたと共にあるように。 （テモテへの第二の手紙） 2-23愚かで無知な論議をやめなさい。それは、あなたが知っているとおり、ただ争いに終わるだけである。2-24主の僕たる者は争ってはならない。だれに対しても親切であって、よく教え、よく忍び、2-25反対する者を柔和な心で教え導くべきである。おそらく神は、彼らに悔改めの心を与えて、真理を知らせ、2-26一度は悪魔に捕らえられてその欲するままになっていても、目ざめて彼のわなからのがれさせて下さるであろう。

（完）

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2014/10/21 （笹倉宗）聖母マリヤ福音教会代表　笹倉正義 通称：オリジナル教会