ふーん　シャープのポケコン PC-1500

石油プラントの反応管の溶接部は内側から「損傷」が進むという特徴がある。プラントは年1回シャットダウンして全装置を検査する。その時に反応管の装置内に入り、自走探査機を管に取り付け、溶接部まで走らせ、超音波探傷装置を回転させてデータを取得する。 そのデータ解析が事務所の自分の仕事である。ところが、わたしの大の苦手は「計算」なのである。気が重いことこの上ない。

その頃、わたしの傍（そば）には悦子がいた。わたしは大阪市の電気店街のある日本橋（にほんばし）に出かけた。そのころの悦子は、どこに行くにもわたしについてきた。そこで、ポケコン見たのだった。承認を受けずに買えば、会社は認めないだろうな、自分で買うことになる。それを思案していた。迷いに迷った。 じりじりした悦子は、「買ったら」と言った。それで、自費で買うことに決めた。プリンターのオプションも同時に購入した。役に立たなければ高い買物だ。 それは、BASIC言語が使えるということだったが、まさにその高級言語が使えた。解析のモデルをプログラムする日々となった。プリンターにはプロッターの機能もあった。円状の棒グラフがプロットでき、まさに解析のアウトプットとして最適のものだった。 これも「えつこのあげまん」効果かも知れなかった。

徳山のビジネス・ホテルのバスルームで一晩中プロッターの音がしていた。プロットするには時間がかかるのだった。苦手な「計算」とプロットを代行してくれたシャープのポケコンは、まさにわたしの救世主となった。その後、OKIのビジネス・パソコンとRS-232C通信もした。パソコン同士のデータ交換スキルも身につけたのだった。 その後、大阪市内の鋳物工場に異動するが、そこではこのパソコン同士通信スキルが役に立つことになった。工場内のデータ通信を始めたのだった。もともとLPZがらみの異動だったが、そのことでしばらく工場に留まっていた。しかし、最終的にはLPZに出張した。

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ページ制作者：　笹倉　正義 2020/5/14