１８．先祖アロン １８．先祖アロン
| 18-1それに引きかえ、主の聖人たちは、偉大な光明を受けていた。エジプト人には、彼らの姿は見えなかったが、声を聞き、 苦しみにあわなかった幸福な人々だと言い合った。 18-2また、虐待されても、残酷な返しをしなかった彼らのことをありがたがり、 今までの虐待のゆるしをこうた。 18-3主はみ民に、やみに代わる燃える火柱を与えられたが、 それは、道しるべのない彼らの旅の案内となり、 光栄ある移住に際し、害のない太陽となった。 18-4主の子らを捕虜にしていた人々が、 光を奪われ、やみのとりことなったのは、当然のことだった。 民は、律法の不滅の光を世界に伝えるものだったから。 18-5彼らは、聖人たちの子どもを殺そうと決めたが、 捨てられた子どもの中で、一人だけが拾い上げられた。 主は罰のために、彼らの子どもの多数を奪い、 一かたまりにして、荒波におぼれさせられた。 18-6その夜は、私たちの先祖に予告されていた。 それは、彼らが頼りにした約束とは何かを思い知らせ、 民を喜ばせ、また安心させるためだった。 18-7民は、正しい人の救いと、 敵の滅びをともに待っていた。 18-8敵を罰したのと同じ方法で、 主は私たちを呼びもどし光栄を恵まれた。 18-9正しい人々の敬虔な子らは、ひそかにいけにえをささげ、 心を合わせて神に約束した、 正しい人々は、よいことも危険もともに受けるのだと。 同時に、先祖の讃美の歌を歌った。 ---この長々とした、抽象的な話は、出エジプトである。正しい人々とは、毎日毎日レンガ造りをさせられていたエジプトのヘブル人たちである。アブラハム、イサク、ヤコブの子孫ということで結束していたと思われ、逸話をまとめたのはエジプトの宰相となり、エジプトの帝王学に触れる機会のあったヨセフであろう。 文字で書かれたかもしれないが、口伝のみが残った。イスラエルの十二部族の構成もヨセフが考えたとすると筋が通る。ゴセンで羊を飼ったり、レンガ造りの奴隷生活では、そのような考えは持てない。古代ユダヤ人の「イスラエル十二部族」は、ヤコブの十二人の子どもではない。レビをはずし、ヨセフ自身は退き二人の息子を加えたのである。この細工は、ヨセフにしかできなかったことである。 （創世記） 41-50ききんの年の来る前にヨセフにふたりの子が生れた。これらはオンの祭司ポテペラの娘アセナテが産んだのである。41-51ヨセフは長子の名をマナセと名づけて言った、「神がわたしにすべての苦難と父の家のすべての事を忘れさせられた」。41-52また次の子の名をエフライムと名づけて言った、「神がわたしを悩みの地で豊かにせられた」。 18-10だが、それに答えるのは、敵の騒々しい叫喚であり、 子どものために泣く悲痛な叫びも聞こえた。 18-11奴隷にも、主人にも、同じ罰が下り、 庶民も王もともに苦しみ、 18-12同じ最後にあい、 数知れぬ死人が出た。 生きている人では、死人を葬るに手が足りなかった。 ほんの一瞬で、いちばん尊い子どもたちが滅ぼされた。 18-13魔法を見ていたので、それまで信じなかった人々は、 長男の死亡を見て、 「あれは神の民だ」と告白した。 18-14静かな沈黙があらゆる物を覆い、 夜が、早い足どりで真夜中に至ったとき、 18-15天の高みから、全能のみことばが、 王の座を飛び下り、 情容赦のないつわもののように、 滅びに定められた土地の中央に降り立った。 それは、鋭い剣のように、二度と消し去れぬ主の布告をたずさえていた。 18-16彼は、足を止め、そこを死で覆った。 みことばは、天に触れ、地を踏まえていた。 ---これらは「出エジプト」を踏まえて哲学的夢想をしているのであるが、宗教的な立場から言うと、大事なのは過越のありかたである。 住居の戸口に血を塗ったのは、「同士」であることを確認するためである。ヘブル人といってもエジプトに留まりたい者もいたはずである。それらの者は一緒にしない方が安全である。また、過越の食事としての焼肉はスタミナをつけるためであり、種入れぬパンは当面の保存食のためである。そして、過越の夜は満月に近くなければならない。夜の砂漠を行進するためである。 このような実務的な脱出戦略を立案した者は、エジプト王族として育ち、８０歳という年齢を経たモーセ以外には考えられない。千載一遇の機会を逃さなかったモーセとアロン、それこそが神の業である。 神がかりの哲学者には、このような事業は達成できないし、神の援けもおぼつかない。なぜなら、神、神という者に限って、神を知らないことが多いからである。過ぎ去ったことなら、どんなことでも言える。人生に未熟な者の文章は読むに耐えない。 （出エジプト記） 7-5わたしが手をエジプトの上にさし伸べて、イスラエルの人々を彼らのうちから導き出す時、エジプトびとはわたしが主であることを知るようになるであろう」。7-6モーセとアロンはそのように行った。すなわち主が彼らに命じられたように行った。7-7彼らがパロと語った時、モーセは八十歳、アロンは八十三歳であった。 18-17その時、夢と恐ろしい幻想が、彼らを不安に陥れ、 不意の恐怖が彼らを襲った。 18-18半生半死の人々は、あちらでもこちらでも地に倒れ、 自分はなぜ死ぬのかを人々に告げ知らせた。 18-19彼らを苦しめたあの夢が予告していたように、 なぜ罰せられたかを彼らに知らせてから人は死んだ。 18-20だが、死の試練は正しい人々にも下った。 多数の人は、荒野で死に倒れたが、 神の怒りは、長くは続かなかった。 18-21とがのない一人の男が、すぐ、彼らを守って立った。 祈りと償いの香という、 聖職の武器をとり、 神の怒りに向かい、 この災難を閉じさせた。 こうして、彼は主のしもべであることを示した。 18-22彼が災難を閉じさせたのは、 肉体の力のためでも、武器の力のためでもなかった。 罰するお方の御手の力を鈍らせたのは、ことばによってだった、 先祖への誓いと約束を思い出させることによって。 18-23屍が、山のようにうず高くなったとき、 彼はその真ん中に分け入り、神の怒りをなだめ、 生者への道をくい止めた。 18-24彼の長い祭司職には、全宇宙が入っていた。 父祖の光栄ある名は、四本の筋の宝石に刻まれ、 頭上の冠には、主のみ力が記されていた。 18-25破壊者は、それを見て恐れ退いた。 あなたの怒りをしばし経験したことだけで彼らには足りた。 ---彼とはアロンのこと。アロンの一族は大祭司職に、レビ人を祭司として他の部族に散開させ、祭り事に従事させたのはモーセである。この知恵の書の言葉核心は、ここにある。 （出エジプト記） 28-1またイスラエルの人々のうちから、あなたの兄弟アロンとその子たち、すなわちアロンとアロンの子ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルとをあなたのもとにこさせ、祭司としてわたしに仕えさせ、28-2またあなたの兄弟アロンのために聖なる衣服を作って、彼に栄えと麗しきをもたせなければならない。28-3あなたはすべて心に知恵ある者、すなわち、わたしが知恵の霊を満たした者たちに語って、アロンの衣服を作らせ、アロンを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 |
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