父と子と聖霊

父と子と聖霊

ヨハネ14-16わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、
いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。14-17それは真理の御霊である。

使徒行伝1-7彼らにいわれた、「時期や場合は、父がご自分の権威によって
定めておられるのであって、あなたがたの知る限りではない」。

名の無い神	出エジプト記「柴の篇」で、神はモーセに、「わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」と言われました。また、モーセが、「エジプト王にあなたのお名前を何と言いましょうか」と問うと、「わたしはあってあるもの」と答えられました。
感性におわす神	名の無い神と対話できるのは、感性が豊かな選ばれた人だけでした。神の見えない性質は、一般の人々には実感が持てず、偶像を拝む方が、気安くて、満足もできるのです。
処女が神の子を産む	「乙女がみごもって男の子を産む」、このような途方もないことが預言者をとおして語られました。未婚の女子が子を産む、ということです。そんなことに耐えられる女性がこの世にいるのでしょうか。律法に厳格に生きた時代のユダヤ人は、未婚の女性の妊娠に対して、その女の死を持って報いました。まさに、イエスの時代は、そうでした。イザヤ7-14それゆえ、主はみずから一つのしるしをあなたがたに与えられる。見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名はインマヌエルととなえられる。イザヤ9-1ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤに光栄を与えられる。9-2暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。イザヤ9-6ひとりのみどりごがわれわれのために生まれた、ひとりの男の子がわれわれに与えられた。ミカ5-2しかし、ベツレヘムエフラタよ、あなたはユダの氏族のうちで小さい者だが、イスラエルを治める者があなたのうちからわたしのために出る。そして、この預言は次のように実現します。その乙女はヨセフの婚約者にして少女のマリヤです。婚約中というのはマリヤが未成年であったことを意味します。ユダヤ人の成人年齢は十三歳です。マリヤは御使のお告げを受諾して、妊娠します。婚約者ヨセフは妊娠したマリヤと結婚します。この時、マリヤは十三歳になっていました。マリヤは、人口登録のため本籍地のベツレヘムに行くヨセフに同伴し、その地に滞在中に男の子を出産します。男の子はイエスと名づけられます。イエスは、ガリラヤ地方のナザレ村で、両親のもとで育ちます。
神の子の誕生	ルカ1-30すると御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。1-31見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスとなづけなさい」。 1-38そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身になりますように」。そして御使は彼女から離れて行った。マリヤは、いと高き者の寵愛を受けて妊娠しますが、この時の情景を連想させるエピソードがあります。渡される夜、イエスは弟子たちと、神殿に近いゲッセマネの園におられました。イエスは父の杯を飲むにあたって、何度も躊躇され、非常に苦しまれました。その時、弟子たちは皆眠ってしまいました。弟子たちはなぜか起きていられなかったのです。眠った弟子たちは神を見なくて済んだのです。マリヤの家族が、かたわらで眠っているとき、いと高き者におおわれたマリヤは、「わたしは怖いのです。でも、御心がなりますように」と、祈り続けたことでしょう。そして、家族がねむりこけている家の中で、マリヤの静かに祈る声だけが聞こえていました。やがて、それもぴたりと止み、夜が明けると、マリヤも皆んなと一緒にいつもの朝を迎えました。マリヤは遠くに住んでいるエリザベツおばあさんに会いに行き、彼女の妊娠を確かめました。そして、自分の身に起こるあるいは起こったことが、彼女同様、人によるものではないことを再確認しました。だとしたら、この先どうなるのかは、神を信じるしかなく、マリヤは熱心に、ひたすら祈りました。「私たちの父、アブラハムよ。信仰の父よ、主を受け入れた、わたしを力づけてください」。未婚の女が妊娠したら、それ以上の不義密通の証拠はありません。村人が知れば、マリヤは容赦なくひきずりだされ、彼女が死ぬまで石が投げつけられます。マリヤは婚約中だったので、ヨセフが結婚してくれれば命は助かります。でも、マリヤはヨセフが神の前に正しい人であることを良く知っているので、彼が結婚してくれるはずはないと思いました。しかし、ヨセフは結婚を承諾しました。マリヤが言うより先に、ヨセフは、胎児が男の子であることと、名前はイエスであることを言ったのです。マリヤは、主の山に備えあり、のことわざを思い出し、涙がとまりませんでした。
神の子の成長	イエス出生の秘密は、両親と、婚約を破棄せず自分を妻にしてくれたヨセフ以外には、知られてはなりませんでした。マリヤはイエスを特別扱いせず、ヨセフとの間にできた普通の子として育てました。イエス幼な子：ルカ2-39両親は主の律法どおりすべての事をすませたので、ガリラヤへむかい、自分の町ナザレに帰った。1-40幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった。イエス十二歳：ルカ1-51それからイエスは両親と一緒にナザレに下って行き、彼らにお仕えになった。母はこれらの事をみな心に留めていた。1-52イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。
イエスの聖霊降臨	イエスおよそ三十歳： 3-21さて、民衆がみなバブテスマを受けたとき、イエスもバブテスマを受けて祈っておられると、天が開けて、3-22聖霊がはとのような姿をとってイエスの上に下り、そして天から声がした、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である。　イエスは、約三年の間、ユダヤの地を巡回して、神の国を宣べ伝えました。その間、イエスは人々の病をいやし、命を救い、奇跡を行いました。自分を誇るためではなく、その権威が神からであることを知らせるためでした。ユダヤ人の民衆はイエスを信じましたが、神殿の人々は信じようとはしませんでした。かえって、殺そうとするのでした。
教団との衝突	神殿の人々、ユダヤ人、ユダヤ教団の幹部は、イエスの活動の本質を精査して、その教えが異端かどうか判断するのではなく、彼を殺すための方策に終始しました。アロン家ゆかりの者ならばともかく、大工風情が神を父と呼ぶとは言語道断、死に価する罪だというわけです。
神の子罪人となる	渡される夜、園で、イエスは父である神の杯を飲まれました。そして、イエスは、人の汚いもの、すなわち罪をその身に負われました。この瞬間、イエスは罪人のひとりに落とされ、神から見えなくなりました。
木にかけられた者	イエスは、十字架にかけられました。木に架けられたイエスは、神にのろわれた者の一人にすぎません。息をひきとられるとき、イエスは、「なぜわたしをお見捨てになったのですか」と叫ばれました。まさにその時、流された血によって罪が贖われ、イエスの声は再び神に届くようになっていました。神はイエスの声を聞き、神殿の幕を引き裂かれました。
神の子の復活	罪のない身に戻って息をひきとったイエスの死体は、新しい墓におさめられました。そしてその三日目に、神はイエスを蘇らせました。イエスが息を引き取られたのは、過越の祭の前日の除酵祭の日です。そして翌日、ユダヤ人は過越の安息日を休みました。安息日の次の日、すなわち三日目の朝に女たちが見に行った時には、イエスの遺体は墓から消えていました。
神の子の昇天	よみがえったイエスの外見は、以前とは変わっていました。イエスは、自分の復活を信じない弟子たちを責められました。また、イエスは、四十日にわたって彼らを教えられ、その後、天にあげられて、その姿が見えなくなりました。
聖霊降臨	過越の祭から五十日目には、ペンテコステと呼ばれるユダヤ人の祭日があります。この日に、家に集まっていたイエスの弟子たちの上に、舌のようなものが止まるという、しるしが現れました。弟子たちは聖霊の力を受けて、外国語を語り、大胆にイエス・キリストを証しするようになりました。それまで、ユダヤ人たちを恐れてびくついていた時とは、別人になりました。使徒行伝2-1五旬節の日がきて、みんなの者が一緒にあつまっていると、2-2突然、激しい風が吹いてきたような音が天から起こってきて、一同がすわっていた家いっぱいに響きわたった。2-3また、舌のようなものが、炎のように分かれて現れ、ひとりびとりの上にとどまった。2-3すると、一同は聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、いろいろの他国の言葉で語り出した。ここに、イエスの父と、子であるイエスと、聖霊を受けた人との関係が生まれました。これは何かの筋書き通りに進行したわけではなく、ただ父の権威によって定められたのです。使徒行伝1-7彼らにいわれた、「時期や場合は、父がご自分の権威によって定めておられるのであって、あなたがたの知る限りではない」。
三位一体の神	それまで名の無かった神は、イエス・キリストの降臨が完成した時から、「天の父」と呼ばれるようになられました。仮にヤウェーという名をつけたとしても、その名前で神に呼びかけることはできなかったのです。イエスをキリストと告白する者に、神は聖霊を下さり、「天にまします我らの父よ」と呼びかけることができるようになるのです。イエスをキリストと告白すること自体、その心に聖霊が宿った証拠です。イエス・キリストの降臨は、厳格な律法を掟としたユダヤ人の、またエルサレム神殿を中心としたユダヤ教の求めた、救主の完成ですが、彼らは認めませんでした。自分たちの求めていたダビデのキリスト像と、イエス・キリストは、あまりに違いすぎたのでした。しかし、それから３５年後の西暦７０年、イエスが「父の家」といわれた壮麗な神殿は、ローマ軍によって徹底的に破壊されました。神殿が無くなり、エルサレムを追放されたユダヤ人は、再び聖書に固執し、律法主義に戻りました。「神の恵み」という新しい教えの富は、ギリシャ語で書かれた文書集となり、新約聖書として成立しました。それは、父と子と聖霊の神を記した、新たな権威あるものとなりました。また、父と子と聖霊の神格を、三位一体（さんみいったい）の神、とも呼ぶようになりました。洗礼を受けるとき、あなたは、「父と子と聖霊のみ名により、洗礼を授く」と、唱えられるのを聞くでしょう。ようこそ！永遠の大祭司、イエス・キリストのおられる神の国へ。