写真は大阪市、南海本線岸里玉手駅下車２分のところにあるキリスト教会。
私の住んでいる団地の居住者が亡くなったので、管理組合副理事長の私が
不在の理事長に代わって告別式に参列した。１１：３０～１２：３０

式の最中に、ふとこのままメモリアルパークに行こう、いう気持ちになった。
メモリアルパークには１６日に行こうと思っていたが、式後も気持ちは変わら
なかった。礼拝堂から外にでると、地面が湿っていた。朝から曇ってはいたが、
式中に雨が降ったらしく、気温を下げてくれて、出棺を待つ間の喪服が苦に
ならなかった。

管理組合に式が終わったことを報告した後、駅前のコンビニで昼食を買い、
みさき公園駅までの料金をみると７２０円、「けっこうするんだな」と思った。
いったん新今宮までの２駅を引き返し、１３：２６の急行に乗る。

車窓から外の景色を見ていた。岬公園の手前には淡輪があり、海水浴場も
ある。みさき公園には遊園地もあり、会社の研修施設が夏場従業員に開放
されたこともあって、子供が小さいときは何回か来た思い出がある。その研修
所も今はない。会社の持っていた研修所や保養所は全て売却された。

淡輪海水浴場と思われるあたり一体が、広大な公園になっているように思わ
れた。曇天にかかわらず、大きな水流滑り台のあるみさき遊園地はにぎわっ
ているようだ。

駅に着き、メモリアルパーク行きのバスを捜すと、目の前の大型バスに「メモリ
アルパーク行２号車」と書いてあった。こんなバスが必要なほどお客さんがいる
のかしらんと思った。バスはすぐに発車、パークまでの所要時間は約１０分。

国道沿いにあるパークの入り口に近づくと、車の通行整理をしている数人の
ガードマンが見えた。入り口付近で乗用車が列を作っている。その間を大型
バスが抜けていく。私のメモリアルは、２区にあるため、一番近い中央広場で
降りた。人が多い。そうか、お盆の墓参なのだ。

碑は汚れてはいたが、特に異常はなかった。碑側面に張ったテープの文字は
消えかかってはいたが、「次の２０年」との文字が読まれた。第１回目の契約
期間が終わり、２回目に入ったのだ。2000/5/21（日）に家族できている。

両側の墓碑には、きれいな花がいけられていた。隣に「イザヤ書」と書かれた
妙な碑があるのを薄気味悪く思われたかもしれない。イザヤ書は、旧約聖書
に収められている預言者の記録で、第５６章６，７節にこうある。

『主の名を愛し、そのしもべとなり、すべて安息日を守って、これを汚さず、
わが契約を堅く守る異邦人は－
わたしはこれをわが聖なる山にこさせ、わが祈りの家のうちで楽しませる、』

　子供のころから私の心の中にあった疑問は、なぜ異国の宗教を自分の宗教
とできるのだろうということだった。田舎の家は禅宗、曹洞宗だ。

その後知ったことだが、イエスもその弟子たちもイスラエルの人々で、西欧人とは何の関係も
なかった。イスラエルの人々（ユダヤ人）は、戒律に従い、異邦人との交際は一切無かった。
イエスの当時、イスラエルはローマの進駐軍の統率下にあった。全ての道はローマに通ず、と
いう時代だった。

【異邦人の信仰に感心するイエス】
マタイによる福音書８章５節
　　ローマ軍小隊長の信仰が僕の中風を癒す
マタイによる福音書１５章２１節からのエピソード
　　カナンの女の信仰が娘のてんかんを癒す

【ペテロの夢と異邦人】
使徒行伝第１０章のエピソード
　ローマ軍イタリヤ隊小隊長コルネリオとの親交

【クリスチャン呼称の起源】
使徒行伝１１章２６節
　アンテオケで初めて、弟子たちがクリスチャンと呼ばれるようになった。

【パウロ異邦人への宣教にむかう】
使徒行伝１３章４４節のエピソード
　　主は私にこう命じておられる、
　　　『わたしは、あなたを立てて異邦人の光とした。
　　　あなたが地の果てまでも救いをもたらすためである。』

宣教のルーツを見れば、キリスト教は、もともと西欧諸国の宗教というわけではない。
イエスの物語は、イスラエルの経典（聖書の旧約部分）にあらわされた神との約束を
成就させるためものであり、本来イスラエル人が救われるためのものだ。

昭和４５年（２２歳）、ひょんなきっかけで私は高野山大霊園に、信仰碑を建てた。
高野山は南海高野線の終点にある山上仏教都市、多くの宿坊があり夏は夏は林間学校
などでもにぎわう。

私は、子供のころから自分が何を信じ、どの宗教にするのか、よく考えてみたいと思っていた。
信仰碑は、そういった自分の気持ちを、支えるつもりのものだった。その後、ひょんなことで
キリスト教会に通うようになり、お地蔵さんやさまざまな石像に違和感を覚えるようになった矢先に
メモリアルパーク募集の記事を見たのだった。

そして、石碑に刻む文字を、イザヤ書に見出した。
またいつか、周囲に違和感を与えないよう、適切に対処したいとも思っている。

　曇り空で、強い日差しが無いため、上着は脱いでいるが、暑さは感じない。
２区のベンチに座り、岸里玉手のコンビニで買ったものをカバンから出した。
１．キリンの酵母入り瓶ビール（栓抜きが不要）
２．塩味焼き鳥串３本セット
３．山菜そば

後ろの、反対側のベンチに陣取った、一族らしい一団の声がする。
「今度来るときは、張り替えるテープを持ってこよう。」
食事が終わって、ごみをまとめてバッグにいれ、バスに乗ろうと思って、階段を
上って、終点の休憩所まで歩いた。

途中、背中の肉がＧパンからはみ出している女性の姿が目に付いて、どうしても
視線がそっちにいってしまった。女性は、Ｔシャツが上にまくれ上がるのを必死で
両手で下に引っ張って歩いている。必死でおさえて歩いているのが、いじらしい気
がして、しかし、なにかしらおかしくて、バスの中からもつい眺め入ってしまった。
海水浴のついでにきたのかな。

大型バスは、つぎつぎに発車している。車掌が搭乗者をカウントしている。
いつもはみさき公園駅とのシャトル便に使っている小型バスは、今日はマイカー
来園者用に園内を巡回している。広大な丘陵に広がる公園墓地、少し北には
関西国際空港島が望める。

駅に着いた。２台ある切符自販機には、一番に着いた。
新今宮まで７５０円。
地下通路からプラットホームに上がると、すぐに１５時３２分発の急行がきた。
本日のミッション完了。おだやかな気持ちで、みさき公園駅をあとにした。